イベントレポート '25/4月開催 とことんDevOps勉強会「もう難しくない!誰でもカンタンDocker入門」
今回のとことんDevOps勉強会は「もう難しくない!誰でもカンタンDocker入門」と題して、日本仮想化技術の田中が講師として登壇しました。
Dockerは、アプリケーションの実行環境をコンテナという単位で手軽に構築・共有できる技術で、開発現場や検証環境、本番環境まで広く活用されています。 今回のセッションでは、「Dockerを使うと何ができるのか」「なぜ便利なのか」といった基本的なポイントから、実際にWebアプリを立ち上げるデモまでを通じて、Dockerの全体像をわかりやすく解説しました。 プログラミング未経験の方や、ITにあまり馴染みのない方にも理解しやすい内容となっており、環境構築の負担を減らす手段としてDockerの魅力を少しでも感じて頂けたら嬉しく思います。
セミナー動画
発表資料
Q&Aまとめ
Dockerイメージにソースコードは含まれる?開発環境統一の仕組み
質問
Dockerについてよくわかってないのですが、いわゆるDockerImageにアプリケーションのソースコードが入ってる感じでしょうか?そのソースコードは編集したりすることができるから、開発環境を統一できるといった感じでしょうか?
回答
Dockerイメージには、アプリケーションのソースコードを含めることもできますが、それだけではなく、ライブラリ、実行環境など「アプリが動作するために必要なすべて」がパッケージ化されています。 ただし、イメージ自体は基本的に読み取り専用です。開発中にコードを編集したい場合は、ホストマシンのソースコードをコンテナと共有(マウント)して使うのが一般的です。こうすることで、コードの変更がすぐに反映される開発環境を複数人で統一して再現できます。
Dockerコンテナは本番運用に向いていない?用途の適切な判断
質問
Dockerコンテナはあくまで開発や実験用として使用し、継続的に使用するようなサーバーソフトではあまり使うべきではない?
回答
Dockerはもともと開発や検証用途で注目されましたが、現在では本番環境でも広く利用されています。コンテナは軽量で起動が速く、複数のアプリケーションを効率的に管理できるため、マイクロサービス構成やスケーラブルなシステムに適しています。 ただし、本番運用では、Docker単体ではなくKubernetesなどのオーケストレーションツールと組み合わせて、コンテナの監視・再起動・スケーリングなどを行うのが一般的です。適切に管理されていれば、継続的に稼働するサーバーソフトにも十分利用可能です。
複数人でコンテナを共有するには?サーバー上でのDocker運用の工夫
質問
サーバーで複数人でコンテナを共有するような使い方をするにはどうしたらいいですか?
回答
端末に自由にツールをインストールできない場合は、AWSや社内サーバー上にDocker環境を構築し、共通の開発用コンテナを用意する方法が効果的です。各メンバーはサーバー上のコンテナにSSHやVS Code Remoteで接続し、同一の環境で作業が可能になります。環境の統一や構築負担の軽減にもつながります。
有料の場合の料金体系
質問
有料の場合の利用料金は?
回答
Docker自体は基本的に無料で利用できますが、企業などでDocker Desktopを使用する場合には、利用規模に応じた有料プランが必要になる場合があります。詳細な条件やライセンス体系については、公式サイトを参照するのが確実です。
コンテナ環境のアップデート運用はどうする?
質問
コンテナを使った場合、構成されているソフトのアップデートなどはどうやるのが一般的ですか?定期的にコンテナを立ち上げなおす感じですか?
回答
コンテナは不変な環境として扱うため、ソフトウェアをアップデートする際は、Dockerfileを更新して新しいイメージをビルドし、古いコンテナを破棄して新しいものに差し替えるのが一般的です。 手動でも定期的に立ち上げ直す運用は可能ですが、KubernetesやECSなどのクラウドサービスを使えば、ローリングアップデートなどで稼働中のサービスを止めずに順次入れ替える運用もできます。CI/CDと連携することで、より安全かつ効率的なアップデートが可能です。
Dev ContainerとDockerイメージ化の関係:開発からデプロイまでの流れ
質問
開発ではDev Containerを使って、アプリが出来上がってからImage化してデプロイするというのがベストプラクティスということでしょうか?(Docker Hubを使ったことがないので何とも言えないですが、ソースコードの管理はGitHubの方がやりやすいように思えるので聞いてみました)
回答
はい、開発環境にはDev Containerを使い、本番用にはDockerイメージをビルドしてデプロイする、という流れは一般的かつ実践的なアプローチです。 Dev Containerは、VS Code上での統一された開発環境を素早く構築・共有できる仕組みで、本番用のイメージとは分けて扱うのが推奨されます。完成したアプリは、必要な構成を含めたDockerfileを使って本番用イメージをビルドします。 イメージの公開や配布にはDocker Hubを使うこともありますが、ソースコードの管理はGitHub、ビルド後の成果物はDocker HubやGitHub Container Registryなど、用途に応じて使い分けるのが一般的です。
Dockerは無料版でも十分?開発用途での制限
質問
有料版があるとのことですが、無料版でも開発には十分に利用できますでしょうか。
回答
はい、無料版(Docker Personal)でも個人開発や小規模チームの開発には十分対応可能です。Docker CLIやDocker Engineなどの主要機能は無料で利用でき、ローカルでのコンテナ作成やテスト、開発環境の構築にも支障はありません。 ただし、企業利用でDocker Desktop(WindowsやMac用のGUIツール)を使う場合、従業員数や売上によっては有償プランが必要になるケースがあります。開発の規模や利用目的によってライセンス条件を確認することが大切です。詳細はDocker公式サイトを参照してください。
IaCとDockerが「相性が良い」とされる理由
質問
IaCとDockerの相性がいいという話をよく聞くのですが、今一相性が良いイメージがわからないので教えてほしいです(初学者なのでクラウドにデプロイする大変さがいまいちイメージできませんでした・・・)
回答
もし、シンプルなWebアプリで「コードをクローンして起動するだけ」で動く場合、DockerやIaCの意義が見えづらいかもしれません。しかし実際の運用では、OSの設定、依存ライブラリ、バージョンの違い、データベース接続やセキュリティ設定など多くの環境構築手順があり、手動だとミスや差異が生まれがちです。
そこでDockerはアプリ実行環境を丸ごとパッケージ化し、IaCはその実行先のインフラ(クラウド上の仮想サーバーなど)をコードで管理することで、構築・再現・更新を自動化できます。 従来のように「手順書通りに環境構築」ではなく、「コード化された構成を一発で再現」できるため、チーム開発や継続的デリバリー、災害復旧時にも大きな強みを発揮します。